コラム

ビジネス最前線

第09回 「ベンチャーとネーミング」

会社名や商品名、そして店の屋号などは様々で、特に最近のベンチャー企業のそれは、創業者の個性や感性の表現されたものが多くなってきている。私もベンチャーに出会って名刺交換するなり、めずらしい名前の会社は会社名の由来を聞くことから始まる。その事業家の企業理念や想いがネーミングに集約されている事が多いからである。

先日の私のテレビ番組のゲストに、株式上場を目標の若い関西出身のベンチャーが登場した。一人は芦屋(あしや)ぎんなん株式会社の杉本昌秀社長と株式会社餃子(ぎょうざ)計画の西研悟社長だ。二人の共通点の一つに杉本氏はワールド、西氏はライカと元アパレルの大手企業出身の脱サラベンチャーであるが、やはり注目はこの2社の会社名であろう。

芦屋ぎんなん株式会社はシュークリーム製造販売のまだ6年目のベンチャーである。抹茶やアーモンドなど20種類以上のシュークリームとゼブラやヒョウ柄のパッケージでも他と差別化をしていて、おもに駅の構内や百貨店などに展開している。

「芦屋ぎんなん」というネーミングは、杉本社長のラグビーをしていた帝京大学時代からの構想だという。当時、全国から集まったラグビー部員に聞いたところ関西の地名で全国区の名前は「芦屋」だったそうである。確かに「芦屋」は今はやりのセレブイメージでもある上品な地名で全国展開を視野に入れて伝統的にも魅せられる。そして、「ぎんなん」は、杉本社長があこがれる織田信長が好物だった戦国武士がよく食べていたものらしい。

シュークリーム店を展開している店舗名は「芦屋タカトラ」。これは、同じく本人の好きな戦国武将で信長、秀吉、家康にまで仕えた戦略家の藤堂高虎からとっている。夢はサムライブームのアメリカはニューヨークに武士の魂で「芦屋タカトラ」を展開していくことだという。会社名も店舗名も由来も一度聞いたら印象に残り、最近のベンチャーらしくないネーミング戦略は素晴らしいと思う。

次に、株式会社餃子計画もその名の通りギョーザの製造販売が中心の会社である。「たかが餃子、されど餃子、餃子とは人生の福包み也」がキャッチフレーズで専門店「チャオチャオ」はじめ業務用ギョーザを製造卸している。

この会社も創業10年未満のベンチャーであるにもかかわらず、すでに全国展開をして年商40億以上の売り上げをしているという。全国のフランチャイズ希望者へもギョーザに特化して展開していくという解りやすい計画会社だとネーミングでアピールしている。元気で明るい性格の西社長は全国をギョーザでうめつくしたいという。

「昔、大手アパレル会社の飲食事業部門に新人配属してから行った仕事が、店の撤退つまりリストラをさせていく精神的にもつらい仕事だったらしく今は自分の力で明るく元気な経営者をどんどん創っていきたいという。「株式会社餃子計画」というネーミングに自分の人生計画とこれから一緒に成長・成功しようと募る全国のメンバーとの計画が凝縮されている。

漢字だけの会社名は今では逆に目を引くし印象深い。そういえば、最近は街の食堂やラーメン屋におしゃれな筆文字、つまり漢字の看板が多いのにも気づく。「株式会社楽天」も織田信長が商業発展のために創った「楽市楽座」が由来であり、おもしろい例としてはあの Canon(キヤノン)は観音様からの意といわれる。

マザーズやヘラクレスなどの新興市場には、やはりカタカナの企業名が多いが「カラオケの鉄人」を展開する「株式会社鉄人化計画」など目立つネーミングにはその会社のホームページの社長の経営理念も参照にして特に興味をもって見てみては如何でしょうか。感性豊かな日本語ベンチャーが台頭してきているようです。

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