コラム

ビジネス最前線

第11回 「ベンチャーの信念」

今、勢いよく全国展開している回転すしチェーン「無添くら寿司」の田中邦彦社長から久しぶりにお葉書を頂いた。「東証一部上場になり、私も世界をターゲットに頑張りますから菅生さんも世界に羽ばたいて下さい・・」と。

大阪は堺という歴史的に商人の地から出た回転すし店は実は多いのだが、田中社長は初めての試みを多くしてきたアイデアマンである。そして、それはすべてお客の目線から改良したパフォーマンスや企業努力だった。皿をテーブルの横の穴に入れて数える自動カウンターやその枚数でガラガラポンのおまけが出る仕掛け、タッチパネルのオーダーシステムなどが好評だが、まだ株式上場の前から行っていた、回っている寿司の時間が来たら自動的に皿の寿司を廃棄するシステムに特に感心したのを覚えている。つまり、お皿の背中にゼッケンのようなQRコードが付いていて寿司が回りだしてから55分以内にお客様に選ばれてテーブルにゴール出来なければ自動廃棄されるのだという。長時間回っている寿司は乾いてしまい美味しくないだけでなく菌が繁殖して人体によくないと、年間何億円分も損をしてまで捨てているのである。

安全と安心を提供する回転寿司という自己理念の貫徹のため正に「損」して「得」ならぬ「徳」をとったベンチャー企業家だ。化学調味料や合成着色料、人工甘味料、保存料を使わなくてお客様に安心と安全を提供し続けることを信念とする『無添くら寿司』田中社長は日本人の良心を世界に羽ばたかそうと頑張っているベンチャー寿司職人だ。

先日、居酒屋は『心の診療所』という信念で「八剣伝」「酔虎伝」「居心伝」などを約800店舗全国展開しているマルシェ株式会社の谷垣雅之社長から、和装柄のきれいな布に包まれたお箸を頂いた。今、全社をあげて「愛のマイ箸一億人運動」をしているのだという。つまり、「外食時に割りばしを使わずに自分のハシを使いましょう」のキャンペーンだ。

地球環境問題を考えてのエコ活動である。つまり、全国800店舗で使っている年間約1500万本の割りばしは、使い捨てでもったいないという事だけでなく、それはアジアの木を無駄に伐採している事を意味するという。さらに調べると、一年間に日本中で使って捨てられている割りばしは何と約250億万膳であり、これは木造住宅が約2万件建てられる分の木材だという。

去年の夏から徐々に直営の260店舗にお客様用のプラスチックの洗って使う箸を導入し始め今年の2月には全店舗統一したという。

私は、この短期間に谷垣社長が500店舗以上のフランチャイズのオーナーにもこの信念を理解して頂きやりとげたことに心から敬服する。実は一本1円位の安い割りばしは、洗わなくてもよく今でも便利なのだから。

プラスチックの箸は1本100円以上し導入時には相当なコストがかかり、洗わねばならないという人件費などのコストもかさむのである。確かにプラスチックの箸は何度も使えるがコストをかけた分の回収は1年以上はかかる。反対意見もあっただろうが谷口社長は、このプロジェクトを信念で完遂した。

今では、マイ箸のお客さんにはサービス券を提供したり、現場は全店一丸PRとしても株主に理解も得て良き成果が生まれてきたようだ。株主総会で皆に「マイ箸」をプレゼントしたという。全国全ての飲食店でも取り組んでもらいたいという信念は、最近マスコミでも多く取り上げられて、遂には環境大臣からも賛同のお呼ばれがきているそうである。

一人のベンチャーが仕掛けてきた「信念の事業」が素晴らしいと思いましたら、皆さんも今日一日だけでも「マイ箸」を持って出かけてみては如何でしょうか?

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