コラム

ビジネス最前線

第14回 「闘うベンチャー社長」

今、全国では地域活性化のためのベンチャー事業や特産品のベンチャー商品作りが改めて見直されているようだ。インターネットの発展で地方の企業の商品や情報をいち早く確認し、卸業者を経由せず直接買い付けたり出来るので、地方の特化した商品は“ストーリー性”というブランドを付加して、より一層のブームを作るチャンスが生まれる。 “雪国まいたけ”“亀山モデル”などが代表的な成功例で、モノ作りを、安いからといって中国だけに依存しない地方活性化の企業努力がおこなわれている。地域が一丸となれば地域の雇用が促進され、流動人口も増えて飲食店や大型ショッピングセンターなどのサービス業態も現れる。

先日、滋賀県の長浜というところへ訪ねて驚いたのである。古い町並みの中のシンボリックな“黒壁”のガラス細工展示館を中心にガラス細工やオルゴールなどを特産品とする新興ベンチャー地域に変身して成功しているのだ。NHK大河ドラマの“功名が辻”の舞台ということもあり、観光客が多くあふれていて、ガラス細工の製作体験ツアーでも賑わっていた。

新興市場の上場企業の中でも地域密着で実績と名をあげている企業も少なくない。ご存知のように、新興市場は、東京のマザーズ、大阪のヘラクレスだけでなく、名古屋のセントレックス、札幌のアンビシャス、福岡のQボードという新しい上場市場があり、各市場にも元気な若手ベンチャーが台頭してきている。また、株式上場とは言わないが株式公開の市場としてのグリーンシートにも注目の新興ベンチャーが勢いよく参戦している。

そして、今、注目の大阪らしい地域密着の闘うベンチャー企業をご紹介しよう。

その名は「大阪プロレス株式会社」、創業7年目で社長の名はスペル・デルフィン。スペル・デルフィンはスペイン語で「すごいイルカ」の意。名詞にはキラキラのマスク顔と筋肉の腕こぶしでポーズをとった全身コスチューム姿の写真と経歴が載ってある。

私が主催のベンチャー勉強会には、メガネをかけて普通に社長として参加し熱心によく勉強している。年齢は30代で、7年前に銀行からの融資やスポンサー集めをして「なみはやドーム」で旗揚げをしたのが創業である。初めの2年間は自分の給料も取れなかったらしいが地域への地道なPR活動などが実を結び、現在は、株式公開を狙う優良ベンチャーに成長した。今、関西の飲食系企業や新興の若い上場ベンチャー企業の支援を受けて発展している。周りのベンチャー起業家とも年代が同じで、かつ、ベンチャーはプロレス好きが多いからである。興行を中心とするプロレス団体などは、経営が大変というが、彼はベンチャーとして新しい試みで経営し利益を上げている。

日本のプロレス団体では初めての、リングのある常設会場をフェスティバルゲートという大阪の中心地に作り、経費がかかる選手の移動などを無くし、空いている日はリングで「レスリング教室」も行っている。Tシャツ、タオル、フィギュアグッズなども商品力を駆使して利益を上げる事業部にしている。

ぜひ、「大阪プロレス」のホームページを見てもらいたいが、人気の秘密はコンセプトが「笑顔を創るファミリーエンタテーメント」というところである。お笑い文化“大阪”を武器に従来のプロレスの既成概念を打破し、面白くて心地いいエンタテーメント企業を目指している。血を見せないプロレスとしても有名で流血は選手に罰金を課す契約をしているという。会場にはターゲットの小さな子供中心のファミリー層が多い。くいだおれ人形のようなレスラー「くいしんぼう仮面」や「えべっさん」がコントも交えながら笑わせたかと思えば、空中を飛ぶようにリング狭しと本格的なプロレスもする。大阪ならではのキャラクター作りとストーリーが成功の秘訣である。アイデアマンの社長は次々に新しいマスクマンを登場させる。大きな、爪楊枝を持った鉢巻のタコヤキーダーやビリーケンキッド、海遊館をリストラされたというアイス・ペンギン、そして縦じまのユニフォームで背番号31番「六甲おろし」がテーマ曲のタイガースマスクは人気、実力ともにチャンピオンである。阪神タイガース黙認らしい。大阪には餃子販売で有名な企業として「大阪王将」があるが、企業のPRマスクマンとして、耳が餃子の形をしている「なんでやねんチョップ」が武器の「つっこみマスク」などもつくり、成功例として各企業に「スポンサード・マスク」を提案している。 “大阪らしさのエンタメ”を武器にして日本初のプロレス上場ベンチャーも夢ではなさそうだ。

今月の16日には、あの伝説のマスクマンレスラー“ミル・マスカラス”をメキシコから招へいして大きな舞台で興行するという。

自分が商品で自分が闘い入場料を得るという原点から、現在は携帯電話のアプリにも、そしてパチンコキャラクターにも収益源が広がり、優良ベンチャー企業としてさらに発展しそうである。皆さんも機会があれば、闘うベンチャー社長を観に出かけてみては如何でしょうか?

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