コラム

ビジネス最前線

第16回 「ベンチャー企業と顧客創造」

2004年2月に立ち上げたソーシャルネットワーキングサイト“ミクシィ”運営のIT企業・螢潺シィが鳴り物入りでマザーズに上場して注目を集めました。500万人のネット会員を短期間に集めてSNSという新しいサービスをインフラしたことが成功の要因です。初めは一人だった顧客が、次々に獲得していく以上に急激に何故増えていくでしょう。商品力の良さとPR以上に、顧客が顧客を呼ぶ仕組みを“商品化”したともいえます。紹介でしか登録できないシステムは、まさに顧客拡大ニーズに合っていたのでしょう。

ベンチャー起業家は疲れを知らず、いつもエネルギッシュに自己商品アピールを心がけます。そして、その自己アピールには、いろいろな要素が含まれています。初めて会った相手へのプレゼンテーションは、とても重要であると経験上わかっているので、その一瞬に集中力を注ぎます。自社の商品やサービスを買ってもらうと同時に自分や自社のファンになって貰いたい思いがあるからです。

新しい商品やサービス、そしてビジネスモデルには必ずといっていいほどコンペティターというライバル商品が存在しています。それを知っているからこそ、自分たちの商品に「惚れて頂きたい」つまり「ファンになって頂きたい」という強い思いがあります。そして、取引先や顧客は当然ですが、自社の営業マンはじめ一人一人の社員に「顧客創造=ファン創造」を徹底して訓練します。“クライアントや顧客の望むものは何なのか”を考えさせて行動させればクレームや反論も成長のための“こやし”になるのです。顧客の一人もいないところから始まるベンチャー企業の成長には、顧客であるファンが営業してくれて別の顧客というファンを創造し続けることが必須条件なのです。

『三十四丁目の奇跡』という映画をご存じでしょうか。

デパートに勤めるキャリアウーマンとその娘、そして本物のサンタクロースが主役の映画です。1947年に一度制作され1994年にリメイクされました、クリスマス商戦のデパートが舞台の映画です。販売促進のためにデパートはサンタクロース役を雇いますが、それが、実は本物のサンタクロースだったので様々な出来事が起こるというファンタジーです。

その映画の中に面白いシーンがあります。子供たちがサンタクロースに会うイベントが開催され、デパートに雇われた本物のサンタクロースは子供たちの質問に答えます。「かえるのおもちゃが欲しい」と少年がサンタクロースに尋ねると、サンタクロースは「よい子にしていたら、買ってもらえるよ」と答えます。しかし、その親は「それは高いからだめよ」と言います。そこでサンタクロースは「隣のデパートではセール品になっているから安いよ」と紹介します。親はそれを聞いて喜び、隣のデパートに買いに行こうとしますが、その様子を見ていたデパート側の責任者は「おまえは誰に雇われているんだ」とサンタクロースに詰め寄り、叱ります。その後、お客さんがやって来て「あなたのデパートは凄いわね。お客のことを考えてくれているわ。私はここのファンになるわ。これからここで買うわね。」とデパートの責任者に言います。サンタクロースの言葉によってデパートの信念・経営理念に感心した“顧客”が“ファン”になったのです。

顧客がファンになれば、新たな顧客を必ず連れてきてくれます。これはビジネスの重要なエッセンスと言えます。常にお客のために行動すればお客は“ファン” という、店や会社を紹介してくれる営業マンとなり商売は必ず繁盛するということです。第三者がポリシーや心構えを伝達し紹介してもらえることはビジネスの成長にとってこの上ないことです。

これはベンチャー企業だけでなく個人にも通用することです。あなたの知人ではなく、あなたのファンをたくさん作ることです。それができれば、あなたというベンチャーは既に成功していると言ってもよいでしょう。成功は人が運んできます。これからの出会いを大事にして、あなたのファンを作ってください。人は刺激となり呼び水になります。周囲の人々はあなたの営業マンです。常にあなたの「顧客=ファン」創造を追い求めていきましょう。

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