コラム

ビジネス最前線

第17回 「ベンチャーと映画モチベーション」

ベンチャーの企業家達は、お互いにモチベーションに役立つ情報の伝達が早い。日頃、仕事で果敢にチャレンジしているからこそ、勇気や元気の出る良い話やネタは、挨拶の手土産代わりに持っているのである。

恐怖でも報酬でもない心構えのモチベーションをいつも追求しお互いに伝達しながら仕事をしているようだ。

「自分たちの夢を実現させる」仕事は恐怖や報酬以上の心のモチベーションが必要であろう。そして、わかりやすくお互いの成功の価値観や性格などを確かめ合う手段として「映画の話」が有効であるようだ。

よくベンチャーの企業家達は「座右の銘」ならぬ「座右の感動映画」を語り合っている。私自身がとても感動映画好きなのも、もともとベンチャー精神があったからかもしれないと思う程である。

今、上映中の映画「ありがとう」がベンチャー起業家たちの中で話題になっている。映画の内容は、1995年の阪神淡路大震災で家の商店が全焼しながら街の復興の為にリーダーとして奔走する一方で、焼け残ったゴルフクラブに奇跡をかけてプロゴルファーにチャレンジし達成するという物語である。

そして、これはプロゴルファー古市忠夫氏の実話というのである。年間2000名が受けて合格するのが50名のプロテストに還暦前の親父がいろいろな多くのものを背負ってチャレンジする姿はとても感動する。ぜひ、皆さんにも観ていただきたい教育記録映画である。

この映画のベンチャー的キーワードは「命の大切さ」「家族愛」「自己実現」であろう。6000人以上の命が失われた同じ場所で生き残った奇跡の命に、何かをするために「生かされている」と気づくことと、あたりまえに「感謝」をもっとしなければならない「家族の絆」を迫力のある映像とともに深く考えさせられる。最後は生かされている命を活かす……自分自身との戦いで奇跡への挑戦……『夢の実現』なのである。

まさに人間ベンチャーのノンフィクションでありベンチャー起業家スピリットが描かれている。

映画の主人公は、実は私の友人でもある赤井英和が演じていてハマリ役である。本人の人生とも共通性があるのでさらに興味深い。彼も大きな試合の事故で一度は生死を彷徨い、その後、ボクサーからまったく違う今の俳優業に転身して成功したのである。 「ありがとう」ではなく「おおきに」が口癖の誠意ある人物である。私は映画を観終わった直後、本人に電話をして「勇気と感動をありがとう」と言った。

いつも感謝する心のある……この人なら信頼できて一緒に仕事をしたい…

…と思えるのが一番大切な心のモチベーションなのだろう。特にベンチャー起業家は一人から始まるのだから、初めについて来てくれる貴重な人材は、出会いの必然も考えて「家族」のようなものかもしれない。

戦後の復興から現在の大手の多くの企業家が生まれたように、実は関西でも震災後、これをきっかけに奮起したベンチャーも少なくない。神戸出身で人材派遣ベンチャーの先駆けである(株)パソナの南部靖之社長は、震災を機に日本に戻り、神戸にハーバーサーカスなどの復興事業を起こしたり多くのボランティアにも寄与した。

楽天(株)の三木谷浩史社長は、故郷の親戚たちが震災で亡くなったのを悲しみ、心に深く感じて「一度きりの命をチャレンジしよう」と震災を機にサラリーマンからの独立を決意したという。

以前に、人間が死ぬ前に思うことの一つに「もっとリスクを負えばよかった」という記事を見たことがある。何かのために「生かされている命」の尊さと奇跡に深く感謝して、死ぬ前に自分自身に「ありがとう」を言いたいと思う。

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