コラム

ビジネス最前線

第20回 「ベンチャー起業家の使命感」

どのような人でも年齢を重ねるにつれて、仕事においても、趣味においても自身のモチベーションは変化していきます。

社会に出たばかりの頃は、仕事内容が大まかにしか解っておらず、「この仕事は面白そうだ」「自分に向いている」という“興味”レベルのモチベーションで仕事を始めます。仕事にも慣れ家庭を持つようになれば、「多くの報酬を得たい」と思います。これが、次の段階です。そして、さらに進むと「この道が専門です」「これで食べています」と人に堂々と言えるようになります。自他ともに認める“ライフワーク”を見つけることができるのです。たいていの人は、この “ライフワーク”の段階で満足しますが、「この仕事は、私がやらねば誰がやるんだ」という“使命”にまでモチベーションを高める人がいます。

明治維新を実現させた坂本龍馬などの志士たちは、「自分たちが動かなければ、日本の夜明けは来ない。」という使命感を持って活動しました。自分たちの命を使い切って日本のために仕事をしてくれたおかげで、今の私たちの生活があるのです。そのような「使命」というレベルまで自分の仕事を高めることが「人間・仕事人」としての理想ではないか、と私は考えます。 そして、この使命感こそが、ベンチャー起業家の永続的なモチベーションだと私は信じています。

ベンチャー起業家たちの真摯な使命感は「自分たちがこの仕事をしなければ、世の中は良くならない」と思って仕事をしているのです。逆から見れば、その使命感がベンチャー起業家たちを動かし幸せにしていると言えます。使命感を持つことが出来るように自分を高めていくことを考えてみてください。何を持って今の“生業(なりわい)”をしているのかの自問自答は、深く、常に考えるべきものかもしれません。命を授かった意味を考えると「使命」以上の「天命」があるのかも知れません。使命で仕事をしてきた方々や企業は、後世に名を残したり、感謝されて語り伝えられます。

私は会社をやめて独立したときから、人生のテーマを「笑い、集い、感謝」にしました。これは、私というベンチャー企業の経営理念です。

「笑い」という感情は人間だけのもので、イメージできる能力で楽しい未来を想像し、笑顔になれます。過去、現在、将来を比較してイメージを膨らますから笑えるのです。「笑い」はがん細胞を鈍化させるとも言われています。多くの心のいい人が集まれば、そこには笑顔が必ずあります。人は笑顔で集まることによって、その力をより一層強くすることができますから「集い」という言葉を掲げました。

そして、重要な言葉としての「感謝」です。あらゆる人や物に「感謝」することで人は成長することができます。邪魔ばかりする人も何らかの役には立っています。悔しい思いを行動のバネに変えるなど、その人のおかげ、つまり反面教師で成長できるのです。そのことに感謝すればよい、と私は考えます。プロレスでは「ヒール」という悪役、他のスポーツでも悪役的なライバルがいてこそ「ヒーロー」が使命感で成り立ち、感動を与えます。

イチロー選手の小学6年の卒業作文「夢」の最後の方には「・・・そして、一流のプロ野球選手になったら、お世話になった人に招待券をくばって、応援してもらうのも夢の一つです」という一文がありました。コーチ、チームメイト、家族、ファンなどすべての人に感謝している姿勢と人格には追い風が吹きます。誰も一人で成長していけるわけではありません。どのような人にも必ずお世話になった人がいます。感謝を忘れず、毎日生活したいものです。

あの、孫社長率いるソフトバンクには、会社が大きくなるきっかけを頂いたり、お世話になった企業への「感謝の日」が設けてあったそうです。

歴史のブランドはあるが、問題を起こしている大手の企業が忘れかけている“人を笑顔にして感謝される”ことを、最大目標としている使命感ベンチャー企業が、もっと出てきてもらいたいと思います。

バックナンバーはこちらから

ページの先頭へ戻る


Copyright© Sugou Arata All Rights Reserved.