コラム

ビジネス最前線

第26回 「成長的夢欲求」

今回は人間の欲求の原点についてのヒントです。

人間の欲求というものは、実は順番があるのです。アメリカの心理学者アブラハム・マズロー氏が提案した人間の欲求五段階説は有名で、マズロー氏は、人間の欲求には段階があると仮定し、生理、安全、親和、尊厳、自己実現という五段階の欲求を設定しました。ひとつの段階に満足すれば、次の段階へと進んでいくという説です。マズロー氏の欲求五段階説を私なりにお話しします。

まず根底にあるのは、「生理的欲求」というものです。例えば地震などの自然災害があったとします。何も無くて困ると人はまず第一段階は「水を下さい」となりますし、次は「食べ物を下さい」、そして、「住むところはどうしよう」という衣食住といった根本的な所から入ります。その次に、今度は「安全安定欲求」というものがあります。健康で経済的にも不安の無い生活を毎日送りたい、という欲求があります。これは生活に対しての危機感が無い場合に生じます。例えば、幕末の志士達は京都に潜伏していることが多かったのですが、桂小五郎なども朝、眼が覚めて、「あ、今日も首がある」と喜んで、そこから一日を始めた、といった話があります。

その次の段階になると社会的な欲求である「親和欲求」になります。組織や集団に属したい欲求です。「帰属欲求」ともいわれます。社会に属して人間らしいコミュニケーションをとりながら生活したい、という精神的な満足を望む段階になります。この「親和欲求」が満たされると、次に人間は「尊敬されたい」と思います。自分が属している集団の人々から尊敬され、自分の価値を確認したいのです。これは「尊厳欲求」と名付けられました。

最後に出てくる人間の最高の欲求というのは、「自己実現欲求」です。自分のやりたいことをやっている、若しくは実現しているということです。成功というのは他人と比べなくても、「自分にとって価値のある目標を前もって設定し段階を追って実現していくということ」ですから、「自己実現オンリーワンの成功」以外の何ものでもありません。本当に人間の心の満足というのは、その人一人一人違って、一つの物を取り合うという成功ではなしに、実は分け合うという成功なのです。相田みつを氏の言葉に「うばい合えば足らぬ、わけ合えばあまる」というのがあります。自身の人生の主人公であるお互いがアシスタントでもあって双方アシストし合うと、それぞれの自己実現に近づくことになるのです。もはや、この段階では他人と比べることに意味はありません。

ここで重要なヒントがあります。
自分自身の成功を実現させるために人間は周りの為にやっていけるのだ、お互いやってあげるんだという、そういう深い観念が重要かつ案外気づかない大切なポイントなのです。
「情けは人の為ならず」の真の意味は、情けはめぐり巡って自分に還るから周りに情けをかけなさいという事です。そのプロセスが自己実現に到達していくということ。その人のなりたい像というのは、その人にしか無いわけです。21世紀は心の時代といわれていますから、物欲より心の欲、やはり自己実現、夢実現以上のものは無いのではないでしょうか。自分が本来何のために生まれて何をして生きるのかという観念を常に追求するという時代です。

さて、具体的に大切なのは、日々の仕事や趣味でいち早く「ライフワーク」として目覚め、日々「自己実現を意識する」ということです。
自分しかできない仕事をやっている人は貴重な存在であり、いつまでも必要とされて求められる。私は「成長的夢欲求」という言い方をしてもよいと思います。自分の能力を最大限に発揮していく実感をもって自分の夢を実現する欲求です。自分にとって価値のある目標をいくつか設定し、それを段階的実現していく喜びを日々イメージして行きましょう。

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