コラム

ビジネス最前線

第32回 「成長へのプロ集中力」

学校や企業だけでなくスポーツ界も新学期つまり新年度を迎えています。

高校で活躍した野球やサッカー少年たちもプロ野球やJリーグで仕事人としてスポーツ選手を続けます。

今は大リーガーの松井秀喜選手が巨人軍に入団しキャンプをしている時のインタビューで、「プロはスピードが違う」と言う言葉を口にしていたことを覚えています。そうです、ボールのスピードや練習そのものや一日に習得する事柄のスピードがアマチュアとプロフェッショナルは違います。

それを感じる光景を先日、東京のある飲食店で見ました。ある広い和食店で、一人の社長らしきお客さんが会社の内定者なのか何人かの大学生を連れてきていて、その大学生達に問題を提起していました。「今からカウンター内の若い板前さんの出す問題に全問正解すること」と。そして、若い板前から社長の指示通りの問題が出ました。問題は、魚偏(さかなへん)の漢字10問でした。魚に弱は鰯(いわし)、有は鮪(まぐろ)、そして徐々に難しくなり、豊は鱧(はも)、葉は鰈(かれい)、東は鰊(にしん)でした。後半は大学生も、当然私も答えられなかったのです。高校を出て数年のプロ板前はあたり前のように漢字は知っていました。和食のお品書きには必須だからです。そして、若い板前は2年の修業を終えると「フグ」の調理師免許取得にチャレンジできるそうです。私も知らなかったのですが、自腹でフグの食材を練習用に買ってさばく練習をします。その食材費用は15万円を越えるそうです。おまけに最後には自分でさばいたフグを確かめるため思い切って食べるというのです。

私の友人でプロ・オートバイレーサーがいます。優勝もしてきたその友人曰く、最終コーナーを曲がるまで2位に付けて最終コーナーで先頭の右ブレーキを凝視し、いざブレーキがかかった瞬間に自分のブレーキをかけるそうです。それでなければ1位のバイクを抜いてトップになれないらしいです。つまり、1位のレーサーがドンピシャでブレーキをかけると自分はコース・オーバーランで横転するのです。

今日一日の仕事を命がけの集中力でするのがプロ中のプロフェッショナルだと思うのです。そこには、「スピード」「集中力」「判断力」が欠かせません。冒険家やボクサーや格闘選手もそうでしょうが、家を一歩出て、今日生きて帰れるか分からない仕事は凄いと思うのです。それに試合本番までの準備を考えると、プロは自分との真剣な闘いが仕事でもあります。

先日、パイレーツの桑田真澄投手がプロ生活20数年での引退表明をしました。巨人時代の試合中の大きな怪我での手術とリハビリの2年間が致命的で通算173勝となり、名球会入りの200勝には届かず、大リーグに渡っても試合中の不慮の事故で足の手術、そしてまた手首の手術と…ファンだった私には不運のエースだったという思いでありました。が、桑田投手は「野球の神様に感謝したい、できれば、自分の子供にも神様が乗り移って欲しいし、ありがたい、満足です」と、何度も「神様」や「感謝」を口にしていたのです。脚光を浴びた時期もありましたが、ここ数年は実力の低下と不遇の連続で大変な精神力で自分との闘いだったと思うのです。そこで私は、敬愛した記憶に残る桑田真澄投手が、苦労させられても感謝する「神様」とは何か?を考えたのです。というより、私にとっての「神様」とは何か?を心に問うて見たのです。前述の板前職なら「調理の神様」で、レーサーなら「レースの神様」なのでしょうが、一般職はというと…答えは「営業の神様」ではないかと思うのです。実際の営業マンでなくとも、各自の仕事で自分の考えや能力をアピールしてサービスする仕事はやはり「営業」です。事務経理でも研究員でもそうです。自己のセールスは生きていく上で欠かせないものなのです。そこで、日々もっと「営業の神様」に感謝しましょう、と提案します。いつの日か私たちも仕事を引退する時、神様に感謝できるのでしょう(?)が、今から感謝の心は大切です。なぜなら、それでも神様は桑田投手のように、不意の怪我や手術やリハビリを与えてくるかもしれないからです。いや、そういうことも想定して、何があっても「自分の子供に乗り移ってもらいたいとまで願う、感謝できる神様」と対話しながらプロの集中力で今日一日を頑張っていきましょう。

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